NSX MT O/H & タイプRファイナル+LSD組込



01

ケース分離


カウンターシャフトのロック解除

まず、ミッションを縦にした状態で、頂上部にあるシーリングボルト(1/2)を取り外して、カウンターシャフトの固定リングを解除します。
通常はプライヤーで開いてやるだけで、ロックが解除されてカウンターシャフトが落ちるんですが、私の場合は、リングが破損して噛み込んだ状態でした。
これは初期の5速ミッションの定番トラブルで、リングが外れてカウンターシャフトが軸方向にブレるようになると、走行中にギヤが抜ける等のトラブルが発生します。走行距離の多いミッションは、ギヤなどに問題なくても、このリングのみは交換が必須です。

ケースを破壊する訳にもいかなので、がんばってリングを摘出します。
少し引っ張り出してはリュータで削って細くして曲げる事の繰り返しで何とか摘出しました。


 

シーリングボルトを取り外すとロックリングが・・・。

摘出したロックリング。



 

センサー、シーリングボルト取り外し

スピードセンサー、バックアップスイッチセンサー類を取り外した後、シーリングボルト4本をはずして、スプリングとスチールボールを取り外します。
スチールボールとスプリングは場所が決まっていますが、サービスマニュアルがあればどこにどれが付くか分かるので、気にせず外していきます。

取り外した実装部品類。


上に持ち上げてケースを分離

次に上下ケースを固定しているボルトを全て取り外して、ケースを上に持ち上げると分離します。




02

ギヤASSY取り外し


ギヤASSY取り外し

まずリバースギヤを取り外します。
メインのシフトフォークとリバースギヤ自体に付いているフォークを繋いでる部分を取り外した後、メインシャフトを少し持ち上げてフォーク→ギヤの順で取り外します。



 

センサー、シーリングボルト取り外し

ギヤは、メインシャフト、カインターシャフト、シフトフォークの一体物でないと外れないので、全体を掴んで上に引き抜きます。
最後にデフを取り外します。デフは掴み所がなく、非常に持ち上げにくいんですが、純正デフは、タップが切ってあるので、アイボルト等をねじ込んでやると非常に楽になります。

取り外した部品。



 

センサー、シーリングボルト取り外し

ギヤは、メインシャフト、カインターシャフト、シフトフォークの一体物でないと外れないので、全体を掴んで上に引き抜きます。
最後にデフを取り外します。デフは掴み所がなく、非常に持ち上げにくいんですが、純正デフは、タップが切ってあるので、アイボルト等をねじ込んでやると非常に楽になります。写真は取り外した状態。

取り外した部品。



03

分解洗浄


ギヤASSY取り外し

各パーツの分解洗浄を行います。
今回組み換えが必要なのはカウンターシャフトのみですが、組んだままで洗うだけでは洗浄液が内部に残りそうでイヤなので、メインシャフトも分解します。
カウンターシャフトはトップ部のナットのロックを起こして緩めます。このロックナットは41mmとデカいので、ソケット準備をお忘れなく(左写真)。
それと逆ネジになっているで時計回りに回さないと緩みません。
シャフトからギヤやベアリングを抜き取る作業には油圧プレスを使用しましたが、ハマり込みは意外と弱く、手で抜けるギヤが結構ありました。


 

カウンターシャフトのロックリング(41mm)。

バラしたカウンターシャフト。


 

シンクロスリーブの内側などは意外とスラッジがたまっています。

パーツの洗浄完了。


 

ケースも洗浄。クラッチダストで凄まじい汚れ。

洗浄完了。



04

消耗品交換


 

センサー、シーリングボルト取り外し

左右ドライブシャフト部、メインシャフト部、シフトレバー部のオイルシールは当然新品交換。
シフトレバー固定ボルトのスプリングワッシャーも一応再使用不可なので新品交換。
その他には、メインシャフトとカウンターシャフトのトップ部のベアリングを新品交換。
予算の問題もありますが、キリがないのであとは全て再使用しました。

ドライブシャフトシール。


05

ギヤ組み立て


 

カウンターシャフトは、今回組み込むLSDのリングギヤとセットのタイプR用を使用します。ロックナットは新品使用。

分解と逆の手順でどんどん組み立てていきます。シャフトへの各ギヤ圧入はユルめなのでサクサク組めます。


 

サービスマニュアルを参考に各部クリアランスを測定。一応全て基準値内でした。ここで基準を外れても対処しようがありませんが・・・。

オイルポンプギヤも純正ファイナル用からシャフトを抜き取って、タイプR用を圧入します。



06

ケース組み立て


カウンターシャフト固定用のクリップを先に入れておきます。
ケースをカブせる時、ベアリングがケース上部に嵌まりつつ、シフトフォークが噛み合わなくてはならないので、ちょっとコツがあります。
組めない時の問題は、ベアリングとケースの勘合の問題ではなくて、3速/4速のシフトフォークみたい。
ケースを下げた時に当たってフォークも下がってしまうと、シフトピースがうまく噛み合わないので、シンクロを微妙にズラして4速に入りにくくしてケースをかぶせるのがポイント。




ケースがハマったら上下ケースの固定しているボルトを取り付けて、センサー類を固定。固定ボルトは長さが2種類あって、ノックッピンと重なる部分が長い方。ボルトを差し込むと、締め込む前の高さで分かります(ノックピンの部分に短い方を差すと、明らかに締め代が少ない)。
あとはミッションを傾けて寝かすと、カウンターシャフトがズレてクリップにハマるので、最後にシーリングボルトを締めて完了。