エアコンレトロフィット

01 必要部品調達

02 部品交換・配管洗浄

03 冷媒注入・試運転


01

エバポレーター取り外し


ダッシュボードを取り外さないとダメ

エバポレーターはエキスパンションバルブの交換と内部洗浄を行いますが、車載状態では無理なので、ヒーターユニットごと取り外します。
NSXのヒーターユニットはダッシュボードを取り外さないと外すことができません。
作業は面倒ですが、取り外し自体はそんなに難しくないので、手順を簡単に紹介します。

 

シートがない方が作業性が良いので先に外しておきます。
まずはドアに繋がるエアコンダクトの上下プラスネジを取り外し(左右共)。

ダクトにを取り外すと10mmボルトが2本出てくるので取り外し(左右共)。


 

内装パネルとメーターASSYを取り外し、下側からナット×2個、ボルト2本を取り外してステアリングコラムを落とす。。

後方の下に隠れている10mmボルトを取り外し(左右共)。


 

灰皿の裏のパネルにあるプラスネジを取り外すとダッシュボードが分離します。

ダッシュボードが外れるとこのような状態になります。
手前の補強パイプを外すと、やっとエバポレータに辿り着きます。


室内から上側のボルト2本を取り外します。下側はフロントトランク側からナットで固定されているので、ブロアユニットを取り外します。
ヒーターコアに繋がるクーラントホースと、エバポレーターに繋がるパイプを切り離してやっとエバポレーターが外れます。旧冷媒は完全に抜けてしまっており、パイプを外しても全くガスが出てきませんでした。



02

エバポレータ洗浄、エキスパンションバルブ交換


ヒーターボックス分解清掃

エバポレータを摘出する為にヒーターボックスを分解すると、内側のスポンジが風化していて、手で触っただけでボロボロと粉に・・・。
もしかしたら二度と外すことがないかも知れないので、この際徹底的に清掃します。
風化したスポンジも綺麗に剥がして、ホームセンターで購入したスポンジテープに貼り直します。

 

清掃とスポンジの張り替え完了後。

両側共に徹底的に清掃。


エキスパンションバルブ組み込み

エキスパンションバルブは小さなノズル穴から冷媒を噴射して気化する部品です。その為、コンプレッサー内部から出る金属摩耗粉などによるノズル詰まりトラブルも多く、レトロフィット時にも交換が推奨されています。
私の場合は、ガスの少ない状態でコンプレッサーが回っている可能性があるので、当然新品交換します。
洗浄はパーツクリーナーを吹き込んでシェイクとエアブローを繰り返して入念に行いました。

感熱筒に繋がる配管を付いていた通りに手で曲げて、感熱筒をパイプが凹んでいる部分にセット。元通りクリップで固定します。


感熱筒の部分に純正っぽくスポンジを巻いて完了。



03

ヒーターボックス組み立て


エバポレーターとヒーターコアを組み込んでボックスを組み立て。外側のスポンジも全て張り替えました。
可動部分にはシリコングリスを使用。



04

その他部品洗浄、組み付け


 

左右コンデンサーも取り外して洗浄。

各パイプも洗浄した上で、R134a用のOリングに交換して組み付け。
サービスマニュアルにはネジ部とOリングにコンプレッサーオイルを塗布するように書かれています。


 

レシーバータンクを交換。
旧タンクより径が細くブラケットに合わないので、本来は対応したブラケットを購入する必要がありますが、買い忘れたので、ブラケットのリング部分を撤去してホースバンドで固定。

試しに取り外したレシーバータンクをカットしてみたら写真のような構造で、活性炭のようなフィルターが入っているだけ。



05

コンプレッサー交換


メンバーの取り外しが必要

コンプレッサーを取り外すには、メンバーを取り外す必要があります。
取り外した旧コンプレッサーからクラッチプーリーを取り外して新コンプレッサーに移植後に取り付けます。

今回、サイクルを完全洗浄したので、新品コンプレッサーに封入されているオイルをそのまま全量使用しますが、コンプレッサーのみ交換する場合は、サイクル内に残っているオイル量を加味して、コンプレッサーから抜き取る必要があります。サービスマニュアルによると、「新品コンプレッサーより抜き取るオイル量=80cc-取り外したコンプレッサーから抜き取った量」とあります。
という事はオイル総量80ccという事でしょうか?

その他部分交換の場合のオイル補充量は以下の通り。
 コンデンサ交換時・・・10cc
 クーリングユニット交換時・・・10cc
 レシーバ交換時・・・10cc
 配管類交換時・・・20cc

クラッチプーリー移植後の新コンプレッサー。
フランジとプーリー間のクリアランスは0.35~0.65mmが基準値。新品コンプレッサーには微調整用のシムが付属していますが、もとのワッシャーのままで0.6mmだったので、そのままにしました。
フィールドコア(コードの付いた電磁石の部分)を点検するには、カプラーの端子と本体間の抵抗値を点検します。基準値は3.6±0.2Ω(20℃)。


新コンプレッサー取り付け後。クラッチプーリーを移植しているので、ブラケットは旧コンプレッサー用をそのまま使用しています。



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