ピンアサインの違いは1箇所のみ
まずはサービスマニュアル追補版(1999年9月)をもとに後期型ABSの配線を調査しました。
後期型ABSはモジュレータアッセンブリにコントロールユニットが内蔵されているため、非常にシンプルな構成になっています。
AP1(S2000)用のNK8モジュレータとNSX用モジュレータのピンアサインの違いは警告灯用信号(WALP)の1本のみです。
つまり、市販のNSX用換装ハーネスの端子(11番)とをAP1用7番端子を入れ替えることでAP1用のモジュレータが使用できます。
TCSユニット用出力への対応は不明
NSX用モジュレータは各車輪の回転センサーの信号をパルスに変換してTCSユニットに出力しています。
私はTCSを完全に撤去していたため検証ができませんでしたが、AP1はトラクションコントロールを搭載していないため、TCSユニット用の出力が機能するのかが不明です。
モジュレータと一緒に入手したAP1用のカプラーはTCS用の信号線の箇所がゴムプラグで閉止されていて配線自体がありませんでした。
TCSは制御が雑でメリットが少ないため、換装の際に撤去するのも良いかもしれません。
NSX用後期ABSモジュレータ配線図
後期ABSにはない回路が多数存在
後期ABSではコントロールユニットがモジュレータに内蔵されていますが、前期ALBは分離したコントロールユニットが室内にあるため、後期ABSと比較して配線が複雑です。
前期ALBでは、充電警告灯やブレーキ警告灯など、後期ABSにはない回路が組み込まれている上、ソレノイドやフィエイルセイフリレーを駆動するための信号線、プレッシャスイッチ用の信号線なども存在するので、後期ABSと比較して配線の本数がかなり多くなります。
ALB警告灯の動作原理に違いあり
不要な配線以外の大きな違いは、ALB警告灯の動作原理です。
前期ALBは、不具合発生時にALB警告灯のマイナス側をALBユニットがアースに落とすことで点灯させる仕組みであるのに対し、後期ABSは、正常時にモジュレータからの信号出力がオン、不具合発生時に信号出力がオフになり、NC接点のリレーを経由して警告灯を点灯させる仕組みになっています。
後期モジュレータの警告灯用信号線をそのまま接続すると、警告灯の動作が反対になってしまうため、NC接点のリレーを増設する必要があります。
NSX 前期ALB 配線図
警告灯用リレーとモーター用電源
各車輪の回転センサーなどの配線はそのまま接続するだけですが、警告灯の点灯回路にNC接点のリレーを追加する必要があります。
増設する警告灯点灯用リレーの電源は前期ALBと同じくイグニッション電源を分岐して接続します。
前期ALBはモーター駆動用のリレーがメインリレーボックスに収納されていますが、後期ABSモジュレータはモーター駆動用リレーを内蔵しているため、モジュレータに直接電源が供給されています。
そのため、リレー部分を短絡して直接供給するか、リレーの信号線をアースに接続して常時通電状態にする処置が必要です。
※ 配線図は信号線をアースに落とす方法で配線しています。
フェイルセーフリレー用電源
また、後期ABSモジュレータは、フェイルセーフリレーも内蔵しているので、こちらの電源線も直接接続する必要があります。
後期ABSのフェイルセーフリレー供給電源は20Aのヒューズ経由なので、前期ALBで使用できそうな配線は[[478]]カプラの17番端子(2番端子)の電源線です。
[[478]]カプラは、ソレノイド駆動用とTCSユニット出力用の配線のみで構成されています。
後期ABSではソレノイド駆動関連を使用しないため、TCSをキャンセルしている場合に必要なのはフェイルセーフリレー用の電源線のみです。
NSX 後期ABS換装 配線図
ステップワゴン(RF1)の場合
RF1の配線は、警告灯リレー用信号が7番端子になってるだけで、基本的にAP1などと同様です。
しかし、RF1では、右前輪の車速パルス(20番端子)がパワースライドドアコントロールユニットに接続され、走行中抑止などのフェイルセーフに用いられている点と、11番端子が別の用途に使用されている点が異なります。
- RF1の11番端子はMPCSコントロールユニットに入力され、ブレーキ系の状態に応じてブレーキ警告灯を制御するためのアクティブLOW(LOW=正常)の論理フラグ信号として扱われています。
この端子は警告灯点灯用信号として使用できそうに思えますが、NSXのABS警告灯回路はリレー駆動(電流ループ型フェイルセーフ)で設計思想が異なるため、RF1の11番端子を警告灯駆動信号として使用すべきではありません。
NSXとステップワゴン(RF1)の11番端子の違い
ALBコントロールユニットの場所
- 助手席のグローブボックスを取り外すと、その奥にいくつかのユニットが見えます。そのユニットの内、一番上にあるのがALBコントロールユニットで、ユニットにささっている2つのカプラーが配線図上の[[247]]カプラーと[[248]]カプラーです。
後期ABSはモジュレータとコントロールユニットが一体になっているので、換装に伴いALBコントロールユニットは撤去できます。
取り外したALBコントロールユニット
- 取り外したALBコントロールユニット。
ユニット単体では取り外すことができないので、全てのユニットが固定されているブラケット一体を取り外してから、ALBコントロールユニットだけを分離します。
ALBコントロールユニットの重量は実測で 0.934㎏ でした。
参考:軽量化プロジェクト ボディパーツopen_in_new
後期ABSに使用しない配線の撤去作業
- 後期モジュレータに接続する配線を新たに通せるようなサービスホールがないので、メインハーネスを室内に引き込んでいるバルクヘッドのグロメットを通す必要があります。
このグロメットはヒューズボックスの奥の方にあるので、新たに配線を通すのが大変です。
新設配線を通すためにハーネステープなどを剥がしている最中に、この機会に不要な配線も撤去してしまおうと思い立ち、後期ABSに使用しない配線の撤去作業を行うことにしました。
作業中に「やめておけばよかった」という後悔の念が何度も頭に浮かびましたが、不要な配線が大量に残っているのが許せない性格なのでがんばりました。
作業はすごく大変でしたが、ALB関連の不要配線に加えてフォグランプの配線を撤去して、重量を測定したところ、0.714kg と思ったより少ない結果になりました。
参考:軽量化プロジェクト 電装品open_in_new
- 配線完了後にエンジンを始動し、まずはメーターパネル内のALBチェックランプが点灯後にきちんと消灯することを確認します。
チェックランプの消灯が確認できれば、内蔵されたコントロールユニット部は正常に動作しているということになります。
モジュレータ本体の動作確認は、実際に作動させてみるしかないので、わざとABSが作動するような状況を作ってテストします。
一般的な舗装路でABSが作動する領域までブレーキを踏むのは危険なので、ミューの低い場所でテストを行います。
地面が土の場所や砂利道などで強めのブレーキングをすれば、時速10km/h程度の低い速度でも、わりと簡単にABSが作動します。
ABSが作動すると、「ブーン」というアクチュエーターが作動する音が車内でもはっきりと確認できます。
ロック時に動作することに加え、通常運行中に動作しないことを、しばらく街乗りをすることで確認してテスト終了です。
ABSモジュレータ換装と配線作業完了
