ダッシュボード取り外し
エバポレーターのエキスパンションバルブの交換と内部洗浄を行いますが、車載状態では無理なので、ヒーターユニットごと取り外します。 NSXのヒーターユニットはダッシュボードを取り外さないと外すことができません。作業は面倒ですが、取り外し自体はそんなに難しくありません。
- ドアに繋がるエアコンダクトの上下にあるプラスネジを取り外します(左右共)。
- ダクトにを取り外すと10mmボルトが2本出てくるので取り外します(左右共)。
- 内装パネルとメーターASSYを取り外し、下側からナット×2個、ボルト2本を取り外してステアリングコラムを落とします。
- コンソールボックスを取り外した後、下の方に隠れている10mmボルトを取り外します(左右共)。
- 灰皿の裏のパネルにあるプラスネジを取り外します。これで、ダッシュボードが分離した状態になります。
- ダッシュボードが外れるとこのような状態になります。
手前の補強パイプを外すと、やっとエバポレータに辿り着きます。
余談ですが、補強パイプは通常無垢の鉄なのですが、錆びるのが嫌だったので、以前ダッシュボード裏の配線を間引いた時に取り外してメッキ(3価クロメート)をかけました。
ヒーターボックス取り外し
- まず、室内から上側のボルト2本を取り外します。
下側はフロントトランク側からナットで固定されているので、フロントトランク側からナットを取り外します(ブロアユニットの取り外しが必要です)。
ヒーターコアに繋がるクーラントホースと、エバポレーターに繋がるパイプを切り離し、エバポレーターを取り外します。
本来は事前に旧冷媒を回収する必要がありますが、完全に抜けてしまっていたいのか、パイプを外しても全くガスが出てきませんでした。
ヒーターボックス分解清掃
- ヒータボックスは構造が複雑なので、分解前にできるだけ写真を撮っておきます。 外部側面には風の流路を変更する閉止板がギヤで連動する機構があります。
- 内部の閉止板はモーター駆動のシャフトが回転すると閉止板が動いて流路が変わる独特の構造です。写真を撮っておかないと、組立時に挫折しそうです・・・。
- ヒーターボックス内部のスポンジは、手で触っただけでボロボロと粉になるくらい風化しています。
もしかしたら二度と外すことがないかも知れないので、この機会に徹底的に清掃します。 風化したスポンジも綺麗に剥がして、ホームセンターで購入したスポンジテープに貼り直しました(スポンジの接着剤もかなり硬化しているので、きれいに剥がすのに苦労します)。
ギアによる閉止板の連動構造
シャフト回転による閉止板の位置調節構造
両側共に徹底的に清掃してスポンジを張り替えた状態
エキスパンションバルブ組み込み
エキスパンションバルブは、小さなノズル穴から冷媒を噴射して気化する部品で、コンプレッサー内部から出る金属摩耗粉などによるノズル詰まりトラブルも多く、レトロフィット時にも交換が推奨されています。
私の場合は、ガスの少ない状態でコンプレッサーが回っている可能性があるので、当然新品交換です。
エバポレーターの洗浄は、パーツクリーナーを吹き込んでシェイクとエアブローを繰り返し、入念に行いました。
- 感熱筒に繋がる配管を元通りに手で曲げ、感熱筒をパイプが凹んでいる部分にセットして、元通りクリップで固定します。
- 感熱筒の部分に純正っぽくスポンジを巻いて組み込み完了。
- エバポレーターとヒーターコアを組み込んでボックスを組み立てます。外側のスポンジも全て張り替えました。
エキスパンションバルブ取り付け後
感熱筒にスポンジ取り付け後
ヒーターボックス組立完了(可動部分にはシリコングリスを使用)
左右コンデンサー
- 左右コンデンサーも取り外して洗浄。
エバポレーター同様、パーツクリーナーを吹き込んでシェイクとエアブローを繰り返して洗浄しました。 - その他のパイプも洗浄した上で、R134a用のOリングに交換して組み付けます(写真は運転席側コンデンサー配管接続部)。
コンデンサーのフィッティング部も経年劣化があり、いっそのこと新品に交換したくなりますが、キリがないので再利用しました。
サービスマニュアルにはネジ部とOリングにコンプレッサーオイルを塗布せよと書かれています。 - レシーバータンクはレトロフィット時の交換必須パーツなので新品交換。 旧タンクより径が細くブラケットに合わないので、専用のブラケットを購入する必要がありますが、買い忘れたので、ブラケットのリング部分を撤去してホースバンドで固定(とりあえず)。
運転席側コンデンサー配管接続部
レシーバータンク交換後
カットしたレシーバータンクと内部フィルター
レシーバータンク内部(余談)
- レシーバータンクは言わばエアコンサイクル内のフィルター。
長年の使用を経て相当汚れているのだろうか、そもそもどんなフィルター構造なのだろうか、などと、ふと気になりました。
試しに取り外したレシーバータンクをカットしてみると写真の通り、活性炭のようなフィルターが入っているだけのシンプルな構造でした。 見たところたいした汚れもありませんでした(黒っぽくなっているので十分汚れているのか?)。
メンバーを取り外した後、旧コンプレッサーを取り外します(面倒ですがメンバーを外さないと外れません)。
今回、サイクルを完全洗浄したので、新品コンプレッサーに封入されているオイルをそのまま全量使用しますが、
コンプレッサーのみ交換する場合は、サイクル内に残っているオイル量を加味して、コンプレッサーから抜き取る必要があります。
サービスマニュアルによると、新品コンプレッサーより抜き取るオイル量は以下の通り。
80cc - 取り外したコンプレッサーからの抜き取れた量
という事はオイル総量80ccという事でしょうか?
その他部分交換の場合のオイル補充量は以下の通り。
コンデンサ交換時・・・・・・・・10cc
レシーバ交換時交換時・・・・・・10cc
配管類交換時・・・・・・・・・・20cc
クラッチプーリー移植した新コンプレッサー
取り付けたR134a用コンプレッサー
- 取り外した旧コンプレッサーからクラッチプーリーを取り外して新コンプレッサーに移植します。
フランジ~プーリー間クリアランス基準値 0.35~0.65m 新品コンプレッサーにはクリアランス微調整用のシムが付属していますが、もとのワッシャーのままでクリアランス0.6mmだったので、そのままにしました。
一応、フィールドコア(コードの付いた電磁石の部分)も点検しておきます。点検方法はカプラーの端子と本体間の抵抗値測定です。 端子~本体間抵抗基準値 3.6±0.2Ω(20℃) - 新コンプレッサー取り付け後。
クラッチプーリーを移植しているので、ブラケットは旧コンプレッサー用をそのまま使用しています。