アメリカ製フルコン AEM
MT換装に伴い、ECUのMT化を検討していたところ、当時、話題になっていた冨吉レーシングさんのNSXが導入していた AEMopen_in_new というメーカーのフルコンが気になり、試しに導入してみることにしました。
- 購入はebayで行い、約2週間後に到着しました。
箱を開けると、中に入っていたのは本体とRS232Cケーブル、取説、両面テープ、オプションの入出力と思われる端子のみ。
取扱説明書は7ページしかない簡単なもので、基本的なことや、コネクタのピンアサインの情報くらいしかありませんでした。
基本的には、PC用の AEMPro というソフトをダウンロードした際、データに付属している汎用マニュアル( EMS 30-1042 取扱説明書open_in_new )を読んで使用するしかないということになります。
AEM 本体及び付属品
カプラーオンで取り付け完了
- 本体のコネクタは純正ECUと完全互換なので、配線に関しては純正ECUのコネクタと差し替えるだけで取り付けは完了です。
しかし、AEM本体は純正ECUの取り付け穴と合うようなブラケットがなく、専用ステーなどもないので、そのままではボディへの固定ができません。 大きいマジックテープシールが付属しているので、それを使用してバルクヘッドに貼り付けるということのようです。
コネクタの向きの通りに固定すると、AEMのロゴが上下逆になってしまうところは何とかして欲しい点です。
AEMを車両に取り付けた状態
初期状態ではキャリブレーションデータが入っていないので、PCと接続してベースとなるデータを転送する必要があります。
まずは、AEMのウェブサイトから「AEMPro」というソフトをダウンロードしてPCへのインストールを行ったあと、ソフトを起動してNSX用のキャリブレーションファイル(30-1042)を開きます。
- 「File」→「Open...」→「Startup Calibrations」の順で選択し、「Honda-Acura」のフォルダ内の「1042.V1.19.cal」を選択して開きます。
ソフトを起動してメーターが表示されている状態では、なぜかキャリブレーションファイルを開けないので、どれかのアイコンを押してセッティング画面に切り替える必要があるようです。
キャリブレーションデータの読み込み
AEM本体とPCの接続
- AEMとPCをRS232Cケーブルで接続し、キーを「ON」にしてAEMに電源を供給した後、AEMProで「ECU」→「Connect」を選択して、AEMとPCを接続します。
私の場合は、この接続作業で苦労しました。
AEMProから接続を試みても、フレーミングエラーやパリティエラーが発生し、接続できませんでした。AEMのカプラーやPCとの接続ケーブルを抜き挿しすると、オンラインになることもありましたが、接続は安定しませんでした。
海外のフォーラムでも同様の症状について報告がありましたが、明確な解決策は見つかりませんでした。
AEMとPCをケーブルで接続したまま電源を投入していたこと、また、カプラーやケーブルを抜き挿しすると接続できる場合があったことから、AEM起動時にRS232Cポートから送られるデータが通信に影響しているのではないかと考えました。
そこで、「ケーブルを外した状態でAEMの電源をON(キーON)」→「ケーブルを接続」→「AEMProで接続」の順に操作したところ、エラーが出ずに接続できるようになりました。
エンジン始動前の基本設定
スロットルポジション初期設定
- オンラインになった状態で、「ECU」→「Send New Calibration...」を選択してキャリブレーションデータをAEMに転送します。
- AEMProの設定で、スロットルポジションの初期設定を行います。「Configure」→「ECU Setup」→「Set Throttle Range...」を選択し、アクセルを離した状態と、全開まで踏み込んだ状態を登録します。 これで、基本的な設定は終わりで、エンジンが始動できます。
エンジン始動後の初期設定
VTEC 「Setup」→「VTEC」→「Options- VTEC」
AEMではハイカムへの切り替え回転数を設定でき、初期値は純正より低い4500rpmです。
全体のセッティングにマッチしているかもしれないので、ここは変更しませんでした。
レブリミット 「Setup」→「Revlimiters」
AEMのレブリミットは初期で8500rpmに設定されています。
怖いので、私は純正同様の8000rpmに落としました。
表示単位 「Configure」→「Units...」
デフォルトの状態だとデータの表示単位が見にくいので、温度を「華氏」から「摂氏」、速度を「マイル」から「キロ」に変更します。
エンジンスタート
AEMに交換してから、純正ECUの時よりもクランキング時間が長くなりました。
音で表すと、純正が「キュキュキュブルン」、AEMが「キュキュキュキュキュブルン」という違いです。
関連しそうな設定を確認してみましたが、原因や改善方法は分かりませんでした。
また、アイドリング状態から軽くスロットルをあおると、回転数が落ち着くまでに時間がかかり、ギクシャクした挙動が見られました。
アイドリングへの移行が滑らかではなく、この初期設定のままでは、街乗りでの扱いやすさに課題があると感じました。
O2センサーの設定
AEMの初期設定では、O2センサーによるフィードバックはOFFになっています。
ワイドバンドO2センサーを前提とした設定のようで、純正のナローバンドセンサーのままフィードバックをONにしたところ、うまく機能しませんでした。
具体的には、A/Fが17以上となり、センサーの校正値を強制的に「A/F 14.7=0.45V」に設定すると、エラーが発生しました。
後日装着したA/F計で、フィードバックOFF時のアイドリング中の空燃比を測定すると、15.5~16.5の範囲で変動していました。薄めの値ですが、アイドリング自体は維持できていました。
マップの3D表示もあり
マップセッティング画面では、数値テーブルとともにマップが3D表示されます。立体的なマップを見ると、いかにもセッティングをしているという実感が湧き、気分も盛り上がります。 また、3D表示上の格子点を上下に動かして、数値を増減させることもできます。
AEMPro セッティング画面
- ECUのセッティングにはA/F計が欠かせません。
いくつかのメーカーを検討した結果、当時プライベーターの間で広く使われ、精度にも定評があった
INNOVATEopen_in_new
を導入することにしました。
日本語版のデータログソフトを使いたかったことと、国内でサポートを受けられることから、 GRIDopen_in_new で販売されていた正規品を購入しました。 - フロントバンク側の触媒前ショートパイプ(NA2のレイアウトをNA1に変更するためのアダプター部分)に、O2センサー取り付け用のボスを増設しました。
- 追加したO2センサーは、純正O2センサーのすぐ後ろに取り付けました。触媒の直前なので熱の影響は気になりましたが、純正O2センサーも近い位置にあることから、問題ないだろうと判断しました。
購入したINNOVATE(イノベート)
A/Fセンサー取り付け用ボスの設置
A/Fセンサーを取り付けたパイプを車両に装着
データログソフトのテスト
- 表示器を設置予定のインパネ付近に仮置きしました。
NSXはエンジン付近からインパネまでの配線ルートが長く、付属のセンサーケーブルは長い方(3m)でも長さにほとんど余裕がありませんでした。
続いて、RS232C/USB変換器を介して、付属のデータログソフトをインストールしたPCに接続しました。 ソフト上でデータが表示されることに加え、ログを保存して後から確認できることも確認しました。
表示器は仮置きのままですが、今後はインパネを加工し、自然に収まるように取り付ける予定です。
INNOVATEで測定した純正ECUとAEMのA/F比較
INNOVATEのA/F計で、純正ECUとAEM(初期データ)の空燃比を比較しました。
直線で停止状態からフルスロットルで加速し、約6000rpmでシフトアップして、1速から3速までのデータを記録しています。
今回のログでは、純正ECUは加速中の空燃比が14.0付近から13.5付近へと変化しています。一方、AEMは12.5付近で推移する区間が多く、純正ECUよりも濃い傾向が見られました。
ただし、シフトチェンジ前後には大きな変動があり、加速時間も短いため、このログだけで回転数ごとの傾向やセッティングの良否を判断するのは難しそうです。
体感では、AEMの方がレスポンスが良く、加速にも勢いがあるように感じました。一方、街乗りでは低回転域のフィーリングが重く感じられました。いずれも今回試した範囲での印象であり、空燃比との関係やECU全体の評価については、条件を変えて確認する必要がありそうです。
