試しに海外製フルコンを試す
AT→MT換装に伴い、アイドリング時、ECUに「N」判定を入力することができないとVTECを使えない(VTECが機能する「D」判定だとアイドリングが安定しない)という問題があります。
仕様的にもノーマルに近いので、ロムをMT車両のデータに書き換えるのがベストなのですが、自分で書き換えにチェレンジするにも、MT用のロムデータを入手するあてがない・・・。
そこで、海外で流行っていたAEMopen_in_newというメーカーのフルコンを試しに導入してみることにしました。
当時、雑誌等で話題になっていた冨吉レーシングさんのNSXも同じフルコンを使用していたことも導入のきっかけでした。
- 純正ECUを開いて内部を確認したところ、「27C256A-20-XGT 9048 GO7 12.5V PGM」と記載されたロムが確認できます。
ロムは28ピンの27C256A-20が入手は可能でしたが、データに関しては情報がほとんどありません。
純正ECU内のロム(27C256A-20)
アメリカ製フルコン AEM
- ebay購入から約2週間後にアメリカっぽいワイルドな梱包で到着しました。
箱を開けると本体とRS232Cケーブル、取説、両面テープ、端子(オプションI/O用?)のみ。
取説は7ページしかない簡単なもので、基本的なことや、コネクタのピンアサインの情報くらいしかありません。
あとはPC用のAEMProというソフトをダウンロードした時についてくる汎用マニュアルで何とかしないといけません。
日本の製品と比較すると不親切なように思えますが、アメリカのプライベーターにとってはコレが普通なのでしょうか・・・。
EMS 30-1042 取扱説明書
装着!でもロゴが上下反対
- 配線は基本的にカプラーオンなので、純正ECUと差し替えるだけで問題ありません。
取扱い説明書に書いてあるのは「Carefully disconnect the wiring harness fromthe ECU. 」とか、あたり前のことくらい・・・。
本体は純正の取り付け穴とも合わないし、専用ステーなどもないので、そのままではボディへの固定はできません。 大きいマジックテープシールが付属しているので、それを使用して貼り付けろということみたいです。 コネクタの向きの通りに固定すると、ロゴが上下逆というワイルド・・・。
初期状態ではデータがデータが入っていないので、PCと接続してベースとなるデータを転送してやる必要があります。
- AEMのウェブサイトから「AEMPro」というソフトをダウンロードしてPCにインストールします。
- ダウンロード後、ソフトを起動し、NSX用のキャリブレーションファイル(30-1042)を開きます。
- 「File」→「Open...」→「Startup Calibrations」の順で選択し、「Honda-Acura」のフォルダ内の「1042.V1.19.cal」を選択して開きます。(写真04参照)。
ソフトを起動してメーターが表示されている状態では、なぜかキャリブレーションファイルを開けないので、どれかのアイコンを押してセッティング状態にしないといけなようです。
「Honda-Acura」のフォルダ内の「1042.V1.19.cal」を選択
- AEMとPCをRS232Cケーブルで接続し、キーを「ON」にしてAEMに電源を供給した後、AEMProで「ECU」→「Connect」を選択して、AEMとPCを接続します。
私の場合は、なぜかここで苦労しました。
接続しようとすると、なぜかフレーミングエラーやパリティエラーで接続できず。AEMのカプラーを抜き挿ししたり、PC接続ケーブルを抜き差ししたりすると、オンラインになったりならなかったり。
海外の掲示板で調べると、同様に接続できない人がいるみたいですが、解決には至っていない模様。
「AEMとPCをケーブル接続した状態でAEM電源を投入している」、「カプラーやケーブルを抜き挿しした時にオンラインになった」という状況から推測すると、AEM起動時にRS232Cポートから出たゴミデータをPCが受け取ったことが原因で通信できないのではないかと考え、「ケーブルを外した状態でAEM電源ON(キーON)」→「ケーブル接続」→「AEMProで接続」という手順で行ったところ、エラーはなくなりました。
- オンラインになった状態で、「ECU」→「Send New Calibration...」を選択してキャリブレーションデータをAEMに転送します。
- 転送が完了するとNSX用の基本データがAEMに書き込まれますが、もう一つやる事があります。 AEMProの設定で、スロットルポジションの初期設定を行います。「Configure」→「ECU Setup」→「Set Throttle Range...」を選択し、オフの状態とて全開に踏んだ状態を覚え込ませます。 これで、基本的な設定は終わりで、エンジンが始動できます。
「Configure」→「ECU Setup」→「Set Throttle Range...」を選択
VTEC「Setup」→「VTEC」→「Options- VTEC」
AEMではハイカムへの切り替え回転数が設定が可能で、初期値が純正より低い4500rpmで設定されています。
全体のセッティングにマッチしているかもしれないので、ここは変更しませんでした。
レブリミット「Setup」→「Revlimiters」
AEMのレブリミットは初期で8500rpmに設定されています。
ちょっと怖いので、私は純正同様の8000rpmに落としました。
表示単位「Configure」→「Units...」
アメリカ式はデータの表示単位が見にくいので、日本式に変更します。
変更するのは、温度(華氏→摂氏)、速度(マイル→キロ)など。
エンジンスタート
AEMに交換した後は、純正ECUよりクランキング時間が長くなりました。
純正「キュキュキュブルン」、AEM「キュキュキュキュキュブルン」という感じの差です。
色々設定を確信してみしたが、それらしき項目は見つからず。そういう仕様なのかも知れません。
アイドリング状態から少しスロットルをあおってみると、アイドリング状態への戻りが遅く、ギクジャクした感じがありました。
アイドリング判定のプログラムが雑な感じがするので、既にこの時点で街乗りには不向きと感じてしまいました・・・。
O2センサーの設定
AEM初期状態でのO2センサーのフィードバックはOFFになっています。
AEMが想定しているO2センサーはワイドバンドなので、純正のナローバンドセンサーのままフィードバックをONにするとうまく機能しません(ONにするとA/Fが17以上になり、センサー校正で、に無理やりA/F14.7=0.45Vに設定したらエラー)。
後日装着したA/F計で、フィードバックOFF時のアイドリングA/Fを測定すると、薄めの15.5~16.5の間で振れていました。排気ガスの清浄度は下がりますが、実用上は問題なさそうです。