01
エンジンルーム上側作業
エンジンルーム上側からアクセスできる部分の作業を行います。
- 取り外したATミッションは助手席側から取り出すので、助手席側にスペースを確保して停車します(写真01参照)。
- エアクリーナーボックスを取り外すとミッション本体が見えます(写真02参照)。
配線カプラを全部取り外した後、ミッション固定ボルト2本とスターターの固定ボルト上側1本を取り外します。 - ATFクーラー(写真03参照)に繋がるクーラントホースが2本を切り離します。 作業性が悪くクーラントを抜くのも面倒なので、ホースピンチャーでクランプしてカッターでカットしました。
- ついでにスターター下側固定ボルトを取り外して、スターターを取り外しておきます。 スターターはメンバーを外さないと下から抜けないで、ボルトを取り外した後に上側から取り外します。 上側からのできるのはここまで。あとは、上から外すのはミッションマウントのみ。
助手席側にスペースを確保して停車
エアクリーナボックスを取り外した状態
スターターとATFクーラー
02
ドライブシャフト取り外し
- 補強バー(リヤビームロッド)を取り外します。
- ドライブシャフトを抜くためにサスペンションアームを切り離します。 アームは偏芯ボルトにマーキングをしておき、アームとロッドのメンバー側ボルトナット、スタビリンクの固定ナットを取り外します。 スタビリンク固定部はボールジョイントなので、ボルト先端の穴に六角レンチをかけてナットを緩めます(ナットだけ回しても永久にグルグル回って外れません)。 スタビリンクのショック固定側は緩めるだけでOKです。
- サスペンションアームを切り離すとドライブシャフトが外側にスライドする状態になります。
ドライブシャフトはナックル側で引っ張っても伸びるだけなので、根元をコジッて引き抜きます。サークリップの効きは浅く、思ったより楽に抜けました。
ガレージジャッキでナックル部分を持ち上げて補助してやるとシャフトが水平になって引き抜きが楽です。
運転席側(センターシャフト側)は結構簡単に抜けますが、助手席側は刺さり代が長いので引き抜きにくいです。 そのままでも外せない事はありませんが、ショック下端部とナックルを切り離しておくと多少スライドが楽になります。
- 運転席側のセンターシャフトを引き抜きます。ステーの固定ボルトを外しただけでは、知恵の和状態で外れないので、ステーとシャフトを固定しているボルトを取り外してシャフトのみをスライドさせる必要があります。
ここが結構しっかりはまっていて苦労します。そのままではビクともしなかったので、CRCを噴いた後にヒートガンで温めてやると動いてくれました。
最後にATFを抜いておきます。
補強バーを取り外した状態
03
ミッション吊り下げ
超重いAT(たぶん80kg位ある?)を腕力だけで降ろすのはキツいので、エンジンホルダーとレバーホイストで吊って降ろすことにしました。
コストを優先してレバーホイストを準備しましたが、実際にやってみるとは意外に使いにくかったので、チェーンブロックを使用した方が安全で簡単そうです。
一応エンジン本体も一カ所吊っておきました。
※イレギュラーなやり方なので、同じ方法で行う場合は自己責任で。
04
ミッション分離
- ミッションの下側を塞いでいるプレートを取り外すと、ドライブプレートが見えます。 ドライブプレートは外周にあるM6ボルトでコンバータと固定されているので、クランクを回転させながら1本ずつ取り外していきます。
- 前側マウント固定ボルト2本(残り1本はエンジン側の為、緩めるだけ)、後側マウントの固定ボルト3本、ミッション固定ボルト残り3本(ミッション側から×1本、エンジン側から×2本)を取り外します。 一応、安全のためミッションをガレージジャッキで支えておきます。
05
ミッション取り外し
最後に上側からマウント固定ボルト3本を取り外します。 この状態で、ミッションはノックピンでエンジンとつながっているだけなので、揺すって少し外側にずらすと簡単に分離します。 あとは、レバーホイストを下げていくだけですが、デフ部分が重いので、まっすぐ降ろすには吊り方にちょっと工夫が必要です。 最後に、中央の固定ボルト(8本)を外してドライブプレートを取り外します。17mmの12角ソケットが必要です。
06
ATFクーラーホースバイパス
ATFクーラーが繋がっていたクーラントホースをバイパス。 φ13のシリコンホースを使用しました。 サボってクーラントを抜かずにやりました(素早い作業が必須)。
07
フライホイール・クラッチ取付け
- フライホイールにパイロットベアリング(91006-PR7-008)を組み込むのを忘れないように。
固定ボルト(8本)を取り付けてフライホイールを固定します(写真10参照) buildフライホイール固定ボルト 締付トルク:10.5kg-m - クラッチを取り付ける前に、フライホイールにダンパースプリングとスプリングカラーが入っている事を確認します。
クラッチディスクは取り付け方向の印に合わせて取り付けます。
2ndフリクションディスク:FLYWHEEL SIDE / MID SIDE
1stフリクションディスク:TRANSMISSION SIDE / MID SIDE
ディスクにはバランスマークがあるので、2ndディスクと1stディスクのマーキングが180°反対方向になるように組みます。
写真11は、1stフリクションディスクを組み終わった状態。
フライホイール取り付け前
- ツインプレートなので、単純なセンターだけでなく2枚のディスクのスプラインも合っている必要があります。
私はアメリカから取り寄せた樹脂製のセンター出しツールを使用しましたが、一応問題なく使用できました。
ミッドプレートとクラッチカバーにはそれぞれ三角の合わせマークがあるので、合わせマークを合わせて取り付けます。
クラッチカバーの固定ボルト(10mm12角ソケット使用)9本を全て取り付けて完了。ダイヤフラムスプリングのたわみを防ぐため、ボルトは三角の対角で締め付けます。 buildクラッチカバー固定ボルト 締付トルク:2.2kg-m 今回はパイロットベアリング、フライホイールボルト、レリーズベアリング、クラッチディスクのみ新品を使用し、その他は中古部品を使用しました。
08
ミッッドプレートのイニシャライズ
- クラッチディスクが新品になって厚みが変わったので、ミッッドプレートのイニシャライズを行います。
これを忘れると、クラッチが切れません。
フライホイール裏側のタップ穴(計3箇所)にM5ボルトを締め込んでいくとガイドが押し出されてスライドします。 ガイドの根元側がミッドプレートに当たるまでボルトを締め込んでイニシャライズ完了です(写真13参照)。
MT搭載前にレリーズベアリング、レリーズフォークにグリスアップをしておきます。。
ミッション取り付け
09
ミッション取り付け
- 一番大変なMTのドッキング作業です。
フロントビーム(フロントエンジンマウントが固定されているビーム)を取り外します。 フロントビームを取り外さないとミッションを横方向に全く揺すれないし、MTドッキング時にエンジンを傾けて斜めにできません。
オイルパン等をジャッキで支えた後、フロントエンジンマウントのボルトを外してフロントビームを取り外し、ジャッキを徐々に下げてエンジンを傾けます。 - 定位置付近まで持ち上げたら水平に移動してメンドラを差し込むだけですが、これがとにかく大変です。 MTを持ち上げる時、ATと違いクラッチとメンドラがあるので垂直に持ち上げる事ができません。 FRと違いデフも入っているので非常に重く、1人で作業するにはかなりの腕力を必要とします(1人でがんばってみましたが結局力尽きて、最終的に2人でやりました)。 ドッキングが完了したらエンジンとMTの固定ボルト、マウント、スターターモーター等を付けていきます。
- レリーズフォークを正規の位置に直した後、レリーズシリンダーを取り付けます(写真15参照)。
- 外した時と逆の手順で、ドライブシャフトの組み込み、足回りの組み立てを行います。
シフトワイヤーを室内に引き込んでシフトレバーと接続し、MT側はセレクトレバーに取り付けます(写真16参照)。
クラッチラインのエア抜きを行い、ミッションオイルを入れてMT部の作業は完了です。
セレクトレバー
MT取り付け完了