NSX AT→MT換装 配線手直し作業

1 はじめに
配線情報は初期型のNA1(100系)のものです。1995年以降のモデルは、この情報とは異なりますのでご注意ください。
カプラー図は純正の配線図に習って記述しています。枠がないのがオスカプラ、枠があるのがメスカプラです。
また、図は端子側からみた状態になります。

紙に印刷して作業したい方に→ AT→MT換装 配線図

2 取り合えず動くように
取り合えずAT用のECUのままで車が動くように加工をします。
最小限で済ますには下図の通りセレクトレバーに繋がる配線加工します。
単純にセレクトレバーを取り外した状態だと、ECUのニュートラル信号が浮いた(ボディーアースされていない)状態になります。この状態はシフトポジションが「D」に入った状態と同じです。
ご存知の通りECUがATのままだと、各シフトポジションで以下のような状態となります。

P アイドリング、通常運転問題なし。但しVTECに切り換わらず、レブリミットが7000rpmとなる。
N 「P」と同様だが、キーロックソレノイドが働いてキーが抜けなくなる。
D VTECには切り替わり、レブリミットも7500rpmに戻るが、アイドリングが上昇して安定しない。

VTECを無視して取り合えず動くようにするのであれば、2箇所の短絡のみです。
まず、インヒビダースイッチの処理を行います。
車両ハーネス側(431の「1」と「2」)を短絡すればOKです。
このスイッチはセレクトレンジが「P」か「N」で閉(電気が流れる)となり、開(電気が流れない)の状態ではエンジンが始動しないようになっています。
あとは、
12極カプラーの「P」と「アース」(430の「11」と「8」)を短絡することでECUに「N」信号が入るので普通に乗ることができます。
この状態でVTECに切り替わるようにするには、ある程度動き出してから「P」→「D」に切り替える必要があります。


3 バックアップランプスイッチ
ATとMTではバックアップランプの配線が全く違う為、そのままではバックに入れてもランプは点灯しません。
ATはシフトレバーのポジションが「R」に入るとランプが点灯しますが、MTはトランスミッション内のニュートラルスイッチによりランプが点灯します。
このような状況を考えると、新たに配線を引く必要がありそうに思えますが、意外と簡単な配線で解決できます。
AT→MT換装を行うと、MT付近のカプラーが4個余ります。
その内の「ロックアップコントロールSOL.V」用2極カプラーを使用する事で簡単に室内に引き込めます。
あとは「33」のカプラー付近の加工を行います。
ロックアップコントロールSOL.V用「2」の赤/白線とバックアップランプに繋がる「3」の緑/黒線を短絡します。
あとは、
ロックアップコントロールSOL.V用「7」の白/黒線とIG電源を繋ぐだけです。
IG電源は黄色い線で、周辺から探せば何本もあります。私は不要になったTCS用の電源を繋ぎました。


4 ニュートラルスイッチ
ATのECUのままだと、ニュートラル信号が入っていないとアイドリング不安定に陥るので、ECUをMT用に交換する等の対処を行った後になります。
(ニュートラルに入っている時しかアイドリングが安定しないので、発進時にギクシャクしてしまします)
ニュートラルスイッチもATには配線が存在しませんが、余った「リニアソレノイド」用3極カプラーが使用できます。


5 クラッチスイッチ
クラッチスイッチの信号線は2本あり、1本がECU、もう1本がオートクルーズユニットに繋がっています。
配線色「桃(ECU行き)」がNO接点で、通常時開(電気が流れない)で、クラッチを踏むと閉(電気が流れる)、配線色「青/橙(クルコン行き)」がNC接点で常時閉(電気が流れる)で、クラッチを踏むと開(電気が流れない)となります。
ECUへの配線は直前のカプラーまで存在しないので、新たに増設する必要があります。
ECUへの信号がどのうような役割を持っているかわかりませんが、配線しなくても車は動きます。恐らくニュートラル信号と同じくVTECに切り替わらない等の処置を行っているのではないかと思います。
オートクルーズユニットへの配線は、ATの場合、シフトポジションコンソールスイッチから繋がっています。
ユニットに直接配線するのが面倒であれば、シフトレバー付近のカプラーにつないでやれば簡単です。


6 不要品撤去
インターロックコントロールユニットは搭載されているもので、ATのセレクトレンジによりエンジンスタートやキー抜きの制限をしています。
キーにロックをかけるキーロックソレノイドと一緒に撤去します。
インターロックコントロールユニットは座席後ろのATコントロールユニットの向かって左側。
キーロックソレノイドはキーシリンダの下側に固定されています。
その他にはバックに入れた時に音が鳴るチャイム(ステアリングコラム下のカバー裏に固定)も不要です。