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オーディオ交換 - 純正BOSEドアスピーカー改造
03 純正ドアスピーカー改造
換装可能なスピーカーを検討

社外スピーカー+バッフルは不正解か

市販の社外スピーカーとバッフルを組み合わせる方法で長い間乗っていましたが、音がこもったような感じでクリアさが感じられず、ずっと不満を持っていました。
以前、試しに行ったデッドニングで大きく改善することはなかったことからも、社外ユニット単体の性能不足というよりも、ドアの材質や質量に加え、内部の条件が一般的な車両と異なることが原因ではないかと考えました。
そこで、NSX専用に設計されたエンクロージャーを使用する方式の方が優位であると考え、インピーダンスが4Ωかつ、純正のBOSEスピーカーと同じ取り付け寸法を持つ互換品がないかを調べたところ、BOSE製の3点止め11.5cm系ユニットは、基本的に取り付け寸法が互換であることが分かりました。
そこで、車載用としてよく聞く「101RD」というモデルに目をつけたのですが、このモデルは内部に音質補正やネットワークのような回路を搭載しており、スピーカー単体のインピーダンスも8Ωであるため、デッキとの直接接続に適さないことが分かりました。

111CLシリーズが置き換え可能

インピーダンスが4Ωのモデルを選定したいと思って調べてみると、天井及び壁埋込用規格の製品ではありますが、「111CL」というシリーズに4Ωのモデルが存在することが分かりました。
この111CLシリーズは、CL-S、CL-Ⅱ、CL-Ⅲと進化しており、最も新しいモデルがCL-Ⅲです。
CL-S と CL-Ⅱ は6Ωと4Ωのモデルの流通を確認できましたが、CL-Ⅲ は6Ωのみ、CL-TⅢという防湿モデルは4Ωのみの流通を確認できました。 CL-Ⅱの防湿モデルであるCL-TⅡも4Ωのみが流通しているようなので、選択する候補を3機種に絞ると、CL-Ⅱ(4Ω)、CL-TⅡ、CL-TⅢになります。
さらに、これら3モデルの特徴を簡単にまとめると、CL-TⅢはPP(ポリプロピレン)製コーンで余分な響きが少なく(初期のロットはコーティング付き紙コーンもあり)、タイトで締まった音になる傾向、CL-Ⅱは紙コーンで低音に量感が出やすく、ふっくらとした鳴り方になる傾向、CL-TⅡはコーティング付き紙コーンでCL-ⅡとCL-TⅢの中間的キャラクターといった感じです。

純正エンクロージャーを検証

  1. 純正ドアエンクロージャーの特性を把握するため、スピーカー、アンプなど全ての部品を取り外した上で水を注いで容積を測定し、スロットダクト径及び長さを測定しました。
    容積は、スロットダクトを除く本体が約2000cc、スロットダクト部が約100ccでした。また、スロットダクトの寸法は、カプセル型の断面が36mm×17mm、長は約180mmでした。
    これらの仕様から判断すると極低域の再生を主目的とした設計ではなく、車室内という制約の中で中音域付近の量感を補う方向にチューニングされた構造であると推測されます(※)。
    エンクロージャー自体が中域寄りの特性を持っているので、スピーカーは中低域の量感が過度に前面へ出過ぎないと思われる「CL-TⅢ」が最もバランスが取れていると考えました。

    ※ ChatGPTに測定データをインプットして予測させた特性。

NSX 純正BOSEドアスピーカー エンクロージャー容積、スロットダクト寸法 実測値

純正BOSEドアエンクロージャーの容積とダクト寸法

CL-TⅢ入手
BOSE 111CL-TⅢ外観

BOSE 111CL-TⅢ 外観

  1. ヤフオクで中古品を購入。
    外観は非常に大型のスピーカーですが、エンクロージャーが大きいだけで、内部のスピーカーは11.5cm系ユニットです。
    購入した2台のシリアルNo.は 4020641 と 4020642 の連番です。
  2. ネットを外してスピーカーを確認するとPP製コーンのモデルでした。 どのシリアルNo.を境にコーティング付き紙コーンからPP製コーンに変わったのかは分かりませんが、スピーカーを探している時に見つけたシリアルNo.が 1040XXX のCL-TⅢは、CL-TⅡ同様のコーティング付き紙コーンでした。
  3. スピーカーを取り外すと、背面に空気の流れを横方向に整流するためのクリアファイルのような素材の丸いシートが貼り付けられていました。
    このシートはスピーカー背面部が同形状の窪みになっているNSX純正のドアエンクロージャーでは干渉してしまうため取り外します。
BOSE 111CL-TⅢ ネットを取り外した状態

BOSE 111CL-TⅢ ネットを取り外した状態

BOSE 111CL-TⅢ スピーカー背面の整流版

BOSE 111CL-TⅢ スピーカー背面の整流版

BOSE 111CL-TⅢ 机上での音出し確認

BOSE 111CL-TⅢ 机上での音出し確認

  1. 車両に取り付けた後で鳴らないことが分かったという事態は避けたいので、以前使用していた予備のデッキにCL-TⅢを直接接続してきちんと音が鳴るのかを机上でチェックしました。
    写真のようにスピーカーを上を向けるとぼやけたような音に聞こえますが、自分の方に向けて置くとクリアな音が鳴り、問題なく動作することを確認できました。
    試しにスピーカー本体をエンクロージャーから取り外して単体で音を鳴らしてみましたが、エンクロージャーなしではこもったような感じの音でクリアさが全く失われてしまいました。
    スピーカーの向きが音質に大きく影響することが分かりましたが、エンクロージャー自体が音質のほとんどを決定してしまう要素であるということが分かります。
エンクロージャーにCL-TⅢ取り付け
NSX BOSE純正エンクロージャーに使用されている特殊ねじ

BOSE純正スピーカーに使用されている特殊ねじ

  1. 純正BOSEのエンクロージャーに使用されているビスの頭は1/4インチ六角頭なので、事前に1/4サイズのソケットを準備しておく必要があります。
    ビスを新品に交換したいところですが、仕様が特殊すぎて、私が探した限りでは見つけることができませんでした。
    各部の寸法を測定して調べてみたところ、このビスは「#8サイズの二条(デュアルリード)ハイローねじ」であることが分かりました。
    デュアルリード・ハイローねじとは、2種類の高さの異なるねじ山が並行して刻まれている構造で、高い山が引き込み、低い山がガイドと樹脂の割れ防止の役割を担っている特殊なねじです。
    ねじ山が2条で並行しているため、1回転あたりの進み量(リード)が通常の単条ねじの約2倍となり、少ない回転数でねじ込めるという特徴がありますが、日本国内で一般的に流通しているタッピングビスとはピッチや山形状が大きく異なります。
    一般的なビスを無理に使用すると樹脂側のねじ山形状を崩してしまう可能性があるので、取り外し時には紛失しないよう注意が必要です。
BOSE 111CL-TⅢ(PP製コーン)のフランジ形状

BOSE 111CL-TⅢ(PP製コーン)のフランジ形状

  1. PP製コーンのモデルは、コーン部の固定構造が他のモデルと異なり、紙コーンのモデルはコーンがフランジに直接接着されていますが、PP製コーンのモデルは樹脂製のリングでコーンを挟み込む構造になっています。
    NSXのドアエンクロージャーは内側からスピーカーを固定する構造のため、PPコーン側のリングがエンクロージャー側のリングと干渉し、純正スピーカーのように奥まで嵌り込みません。
    紙コーン仕様のCL-TⅡ(CL-TⅢ初期モデル)は純正BOSEスピーカーと同様のフランジ形状のため、PPコーンモデルに比べて取り付けが容易です。
NSX BOSE純正エンクロージャーに111CL-TⅢ(PP製コーン)を取り付けるために4mmスペーサーを使用

PP製コーンのCL-TⅢを取り付けるためのスペーサー

  1. CL-TⅢをそのまま取り付けると、フランジに無理な力が加わってしまうため、M6用4mmスペーサーを挟んで取り付けることにしました。 このスペーサーの装着により、フランジ面からスペーサーが0.5mm程度飛び出すので、気密性を上げるために貼り付けたクッションテープを適度に潰すことができます。
    また、スピーカーを固定する3本のビスの長さは、純正エンクロージャー外周を固定する17本のビスより短くなっています。
    CL-TⅢを取り付ける場合、フランジの干渉により取り付け面が約4mm後ろにずれるため、別にストックしていた長い方のねじを使用しました。
NSX BOSE純正エンクロージャーに111CL-TⅢを取り付けて綿を配置

エンクロージャーにスピーカーユニットを取り付け

  1. 純正状態のエンクロージャー内部は、アンプとの境目とスピーカーの背面に綿が詰められていますが(※)、アンプを取り去った状態でどのように配置すべきかChatGPTで検討したところ、アンプとの境目は純正と同じ量を入れつつ、アンプの部分は少なめにふわっと入れ、背面は音質を確認しながら増減するのがベストということでした。 車両に取り付け後で量を調整しながら試すのは面倒なので、スピーカー背面はリスクが少ないと考えられる少なめの綿を入れることにしました。 配線の共振防止用のスポンジは、純正同様のものが見つからなかったので、ホームセンターに売っている隙間テープを使用しました。
    コネクタは純正っぽく住友電装HDシリーズを使用しました。
    カプラーを固定するための赤いクリップは、ホンダ純正部品(クリップ カプラー 91555-SM4-003)として購入できます。

    ※ 入手した中古エンクロージャーを確認したところ、背面の綿は入っているものと入っていないものがあったので、新品の状態で入っているものなのかは不明です。

NSX BOSE純正エンクロージャーに111CL-TⅢを換装 組み立て完了

111CL-TⅢ換装エンクロージャー 組み立て完了

  1. 17本のビスを取り付けてエンクロージャーを閉じたら組み立て完了です。 確かにデュアルリードビスは少ない回転数で締め込むことができ、組み立て時の作業性にも大きく影響しそうです。
    格子部分から見えるコーン部分が白いPP製になっているという点だけが純正との見た目の違いです。
  2. 111CL-TⅢ換装仕様であることをアピールしたいので、111CL-TⅢのエンクロージャーから剥がしたラベルを純正のラベルが貼ってあった位置に貼り付けました。
    もともと111CL-TⅢ仕様であるかのような純正品風の雰囲気になりました。
  3. 標準状態の111CL-TⅢとNSX純正エンクロージャーに換装した状態と比較するため、机上でテスト再生を行いました。
    エンクロージャーの容積はだいぶ小さくなっていますが、音質はクリアなままで、大きな違いは分かりません。
NSX BOSE純正エンクロージャーに111CL-TⅢを換装 ラベルを移植して純正品感アップ

111CL-TⅢからラベルを移植して純正品感アップ

NSX BOSE純正エンクロージャーに111CL-TⅢを換装 テスト再生

111CL-TⅢ換装エンクロージャー テスト再生

NSX BOSE純正エンクロージャーに111CL-TⅢを換装 車両取り付け、再生テスト

111CL-TⅢ換装スピーカー 取り付けと再生テスト

  1. 車両に取り付けてテスト再生を行ったところ、机上で正面を向けてテスト再生した時と比較して、若干の音質低下はあるものの、社外17cm+バッフルの時と比較するとこもったりぼやけたりする感じは一切なく、クリアで綺麗な音質に変わっています。
    それぞれの音域がはっきりしているので、イコライザーの設定変更でかなり印象も変化します。 中域寄りの特性を持っているエンクロージャーにCL-TⅢを収めることで、高域が補われるという結果を期待しましたが、フラットな状態で聞くと中低音が結構しっかり効いていて、スピーカー単体よりもエンクロージャーの特性が強く出ている印象です。
    ここからは好みの問題ですが、イコライザーの設定を高域になるにつれて強くしていくと、よりクリアで綺麗な音になる気がしました。
03 純正ドアスピーカー改造