ロベルタカップ導入

01 制御ボックス製作

02 カップ取り付け

03 装着・動作テスト



01

ロベルタカップ導入検討

 

車高は下げたいが擦るのもイヤなので

私のNSXは車高を合法的な範囲(9cm)に留めていますが、RFY製のリップを付けている事もあって、フロント先端は結構低くなっています。
家を出る際にちょっとした坂があるのですが、慎重にルートを選ばないとリップをガリガリ擦ってしまいます。
これ以上車高を上げたくないので、ロベルタカップを導入してみる事にしました。
コスト削減の為に当然中古。その辺の車高調と何とか合体できるだろうと考えて何も考えずに購入。購入したキットは、カップ、コンプレッサ、タンクのセットです。
タンクはアルミ製で非常に軽量かつ錆びない。また、2つに分かれているので取り付けの自由度が高いです。
後で分かりましたが、カップ自体は2種類ある内の小さいタイプで、キットはトップシークレットが販売していたものみたいです。

コンプレッサとタンクが変な色に塗られていました。写真はタンクの塗装を剥離してバフ掛け後で、コンプレッサは後で剥離&塗装します。
コンプレッサは「THOMAS」というメーカーのものみたいです。



02

制御ボックス設置場所検討

 

使用したのはタカチのアルミ製フリーサイズボックス「MBF203-200-310B15」。ミリ単位でサイズが指定できてリーズナブルです。

制御ボックスをフロントスペースに設置

NSXの場合、リヤトランク内に各機器を設置するのが一般的ですが、トランクを空けておきたいのと、リヤセクションの重量を増やしたくないのとで、フロントの空きスペース内に全て設置する事を目標としました。
あちこち測定したり頭を悩ませた結果、ビジョンが決まりました。「バッテリーをドライバッテリーに変更し、バッテリー、コンプレッサ、制御回路の全てを純正バッテリーとほぼ同じサイズのボックス内にまとめる」という案です。
机上でボックス内のレイアウト検討をしてみると、バッテリーとコンプレッサは何とか入るので、その他の物は何とかなるだろうって事で決行です。
まずはボックス探しですが、ジャストサイズのボックスをワンオフで作るのも大変なので、フリーサイズでオーダーできるアルミボックスを購入する事にしました。



03

制御回路検討

 

使用可能な電磁弁は限定される

エアの制御を行う電磁弁の選定条件としては、電源がDC12Vでロベルタカップの動作圧力に対応したのものになりますが、ロベルタカップはMax1.5MPaとかなり高めの圧力になる上、弁の開放時にOUT側圧力がほぼゼロなので、動作差圧が1.5MPa以上の製品を選択する必要があります。
上記の条件で事で選定すると、SMCとCKD共に1機種ずつしかありません。CKDはなぜか12Vの在庫が殆どないのでパス。
という事でSMCの「VXE2110-01-6G1-B」を使用する事に決定。

VXE2110-01-6G1-B (SMC)

電源 / 消費電力

DC12V / 1.5W(保持時)

管接続口径

1/8(6A)

オリフィス径

φ2mm

最高作動圧力差

1.5MPa

最高システム圧力

3.0MPa

重要なのは、「最高システム圧力」ではなく「最高動作圧力差」です。
私も最初、最高システム圧力だけを見て間違って購入してしまいました。

SMCの「VXE2110-01-6G1-B」。ショップ等がラインナップしているキットも、この電磁弁を使用しているようです。


 

アルミ板に電気回路を集約

電気回路部分をボックスの内側側面にまとめたいのでアルミ板に固定。
リモコンで上昇下降させたかったのでキーレスを利用しようと思っていましたが、探してみると良いものがありました。
右側の箱はコムエンタープライズの汎用リモコンスイッチ「MLT061」で、ボタンを押している間にリレーON等の動作にも対応しています。
リレーは、コンプレッサー作動用×1個、電磁弁作動用×2個です。
リモコンスイッチ内蔵のリレーで電磁弁を直接駆動もできましたが、トラブル防止の為に外部にも付けました。


 

回路図

上の写真では、リレーは3つとも同じものですが、最終的にCR1のみVIAIR(エアサス用コンプレッサメーカー)が販売しているものに交換しています(念の為)。

CR1

コンプレッサ駆動用リレー

VIAIR S10-1A-NY 12VDC
12V 40A

CR2

上昇動作用リレー

TRACKPRO YL-314-C-12VDC
NO:40A/14DC NC:30A/14VDC

CR3

下降動作用リレー

TRACKPRO YL-314-C-12VDC
NO:40A/14DC NC:30A/14VDC

SV1

上昇動作用電磁弁

SMC 省電力形直動形2ポートソレノイドバルブ
VXE2110-01-6G1-B VXE21

SV2

下降動作用電磁弁

SMC 省電力形直動形2ポートソレノイドバルブ
VXE2110-01-6G1-B VXE21

PS

エアタンク圧力スイッチ

NASON CD-107
ADJ-RANGE:100 TO 400psi



04

ボックスにレイアウト


 

実物を並べてレイアウト検討

実物を並べてボックス内部のレイアウト検討を行います。
平面にレイアウトするものは、コンプレッサ、ドライバッテリー、電磁弁×2個。
左写真のレイアウトで一応問題なさそうですが、手前のスペースにドライバッテリーが載り、電磁弁側の側面に制御回路搭載のパネルが固定されるので結構窮屈になると思います。
固定に必要な穴位置を工作用紙にマーキングして寸法取りを行い、工作用紙をトレースして実物を加工します。
このような検討ではダイソーの工作用紙を愛用。方眼もあって便利です。


 

ボックスは純正バッテリーと同じ考え方で、メンテナンス時にスライドさせて引き出したかったので、底面にゲタをかまします。
ジュラコンの端材を買ってきて写真のようなバーを2本製作。

バッテリーやコンプレッサなどの重量物があるので、ボックス底面のみの強度では持ちません。3mm厚のアルミ板をベースに、さらに5mm厚のフラットバーで補強を入れて土台にしました。


 

ボックスに仮組み

コンプレッサと制御パネルを仮組み。
取りあえず底面パネルと側面制御パネルは配置できました。
ボックス外部に繋がるエア配管の継手と配線コネクタの配置は無視していますが、配線配管を行いながら考えれば何とかるだろうって事で・・・。
必要な配線配管は以下の通り。
 1.エアタンク接続用配管
 2.カップ接続用配管
 3.エアタンク圧力スイッチ用配線
 4.イグニッション電源用配線
 5.バッテリー配線(プラス及びマイナス)



 

配管作業

ごちゃごちゃしているように見えますが、配管は至ってシンプルで、右図の通りです。
エア配管に使用しているのは全てSMCのワンタッチ継手。この継手は使用圧力1.0MPaですが、ワンタッチでないとボックスの脱着が非常に面倒になるので、メンテナンス性優先で使用圧力は無視します。耐圧は3.0MPaなので多分大丈夫でしょう・・・。
バッテリーはS15にも使用していたM2販売製、ステーはS15の時に使用していた削り出しステーを使用。

「SV1」のみが開くとカップにエアが充填され、「SV2」のみがが開くと充填されたエアが排気されます。


 

組み込み完了

いきなり完成状態です。よく入ったなと言うくらい本当にスシ詰めです。 低頭ボルトを使わないと入らなかった部分など、色々苦労しました。
上の写真には圧力計が写っていますが、ボックスの中では意味がないので、エアタンク直接装着に変更。
制御パネルと各機器の配線は、メンテナンス性を考えてギボシ接続にしました。
組み立てながら、あーすれば良かった、こーすれば良かったと思う事が多々有り、もう一度作り直したい思いがありますが、とりあえずコレで運用です。
一番思ったのは「バッテリーは外に出して、その他の機器のみ小さいボックスに収納すれば良かった」でした。




05

ボックス取り付けテスト


 

一応計算通りにフィット

純正バッテリーを取り外して、そのスペースにセット。無事バッテリー搭載位置に収まりました。ほぼ計算通りです。
純正バッテリーの固定用ステー(棒)が使用できるように設計しているので固定も簡単です。



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